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Rd.12 [Sat,14 August]
INDIANAPOLIS

またもやトップ10フィニッシュを達成! 第12戦 インディ・ロードコース
 NTTインディカー・シリーズが開催されるのは今シーズン2度目となるインディアナポリスのロードコースにおいて、佐藤琢磨はまたも力強くレースを戦い抜き、トップ10フィニッシュを飾った。15番グリッドからスタートしたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのNo.30ダラーラ・ホンダは、見事な戦略と素晴らしいオーバーテイクによって一時は8番手まで登り詰めた。しかし、残念なことに最終ラップの1周前にジョセフ・ニューガーデーンが後方から接触。ターン1から飛び出した琢磨はグリーン上を走行することになり、最終的に10位でフィニッシュしたのである。

 今回もまた、No.30のクルーはフリープラクティスで苦戦を強いられた。このセッションを終えたとき、琢磨はなんと23番手だったのである。「素晴らしいプラクティスというにはほど遠い内容でした」と琢磨。「今回のセッションも短く、しかも、前回ここで戦ったときの僕たちはあまり好調ではなかったので、いろいろなものを試しましたが、ペースはあまりよくありませんでした。さらにレッド・タイヤで走行を始めたところ、半周ほど走ったところで赤旗が提示されました。セッションが再開されてから、僕がレッド・タイヤで計時できたラップは1周だけでしたが、このときもトラフィックの影響を受けました。このコースでいちばん大切なのは、S字コーナーに続くターン7からターン9までですが、ここにぴったりとあったバランスはとうとう見つけられませんでした。現在のインディカーはとてもコンペティティブなので、コンマ1秒を失っただけで大きく順位を下げることになります」

 こうした苦難の数々にもかかわらず、琢磨のタイムは第2セグメント進出にあと0.16秒足りないだけだった。そして予選グループで8番手となった琢磨は、15番グリッドからレースに挑むこととなる。同じ8列目にはチームメイトのグレアム・レイホールも並んでいた。ところで、今回RLLRの3台目にあたるNo.45を操ったのは、FIAフォーミュラ2選手権で優勝を飾ったこともあるクリスチャン・ルンガードで、彼はこれがインディカー・デビュー戦だったにもかかわらず予選で4位に食い込んでいた。

「僕たちはセットアップを変更しましたが、そうした作業は慎重に行ないました。なぜなら、ちょっとしたことで簡単にピークを通り越して悪い方向に進んでしまうからです。このため、セットアップ変更に伴う伸び代は決して大きくありませんでした。いっぽう、すでにバーバー・モータースポーツ・パークで僕たちのテストに参加したことのあるクリスチャンは、本当に実験的で素晴らしいセットアップで走行し、最高の結果を残しました。僕たちのチームが、ロードコースでもコンペティティブになれるのがわかったのは素晴らしいことでしたが、自分自身が予選の第2セグメントに進めなかったのは残念でした」

 ウォームアップでは調子が上向き、琢磨とレイホールは予選タイムにわずかに届かないラップタイムを記録。それぞれ6番手と7番手となった。レースでもふたりは同じように反撃した。激しい鍔迫り合いが繰り広げられたオープニングラップにおいて、琢磨はふたつポジションを上げることに成功するが、続く2ラップでレッドタイヤを履いたドライバーたちに抜かれてしまう。これは琢磨がブラック・タイヤでスタートした影響だった。硬めのブラック・タイヤで走行することがルールで義務づけられているが、これを終えれば、残るラップは柔らかめのレッド・タイヤで周回することができる。

「オープニングラップは順調でした。ただし、僕の後からスタートしたドライバーのうち、4人がレッド・タイヤを履いていて、彼らは当初、非常に速いペースで走行していました。しかも、タイヤが十分にウォームアップされていなかったために、1周目の最終コーナーでひやっとするような経験をしました。レースではダウンフォースを減らしていたので、タイヤのグリップが限られていました。最初の数ラップは全開で走行できず、そしてあわやという目に遇い、マシーンがよろめいてもう少しでウォールにヒットするところでした! それでもフェリックス・ローゼンクヴィストをなんとか抑えきるなど、手応えあるバトルができました」

 16番手を走行中だった琢磨は、もっとも早い段階でピットストップしたドライバーのひとりで、ここでブラック・タイヤからレッド・タイヤに交換。早めにピットストップし、ペースの点で有利なレッド・タイヤに履き替える作戦は、アンダーカットを可能にするものだが、それと同時に燃料もセーブする必要が生まれた。「とてもいい流れでした。僕たちはアンダーカットに挑み、これは成功しそうに思えました。僕はゆっくりと、でも確実に前進していきました。ただし、最初のスティントが短めだったので、燃料も節約しなければいけませんでした。これはちょっと苦しかったですね。僕たちには新品のレッド・タイヤが2セット(これを第2スティントと第3スティントで用い、第4スティントは中古のレッド・タイヤで走行した)がありましたが、燃費の要求も同時に満たさなければいけなかったのです」

 最初のピットストップで、琢磨はライアン・ハンター-レイとライナス・ヴィーキーをアンダーカットしたが、ローゼンクヴィストの先行を許したため、差し引きひとつポジションを上げて15番手となる。ただし、2回目のピットストップを行なう直前には、素晴らしい動きを見せてローゼンクヴィストを攻略し、14番手へと浮上した。そしてピットストップが一巡したころには13番手となり、続いてルンドガードとコナー・デイリーをコース上でオーバーテイク。最後のピットストップを行なうとき、琢磨は10番手まで躍進していた。そして全ドライバーが最後のピットストップを終えた段階でも、琢磨は依然として10番手のポジションを守っていたのである。

 しかも、最後のひとつ手前のスティントで、琢磨はトップ集団との間隔を徐々に詰めていった。ただし、彼らには大きくリードされていたので、アタックすることはできなかったものの、そのときの琢磨のペースは「とても勇気づけられるもの」だったという。「先頭集団までは少し距離があったので、さすがに追いつきはしませんでしたが、彼らの後姿を視界に捉えられたのは嬉しいことでした」 ほどのなくアレックス・パロウのエンジンにトラブルが発生し、この日、最初のイエローが提示されたが、このとき琢磨は9番手につけていた。そしてリスタートでサイモン・パジェノーを仕留めて8番手になると、ダメージを負ったヴィーキーのマシーンを救い出すために再びイエローコーションとなる。これでドライバー同士の間隔がぐっと縮まると、残り7周で最後のリスタートが切られたが、ユーズドのレッド・タイヤで長い周回数をこなしていた琢磨にとっては苦しい状況だったといって差し支えない。

「各マシーンがぐっと密集した状態になりましたが、僕は順位を上げられませんでした。僕自身も悪くはありませんでしたが、ニューガーデンが速いペースで迫ってきました。ターン1で彼を抑え込むべく、僕はディフェンス・ラインをとりましたが、彼がブレーキングで追突してきて、僕は押し出されてしまいました。コースアウトしたのはそれほど長い時間ではありませんでしたが、この間にふたり(ニューガーデンとマーカス・エリクソン)に先行されたのは残念でした」

 この後もレースは目白押しだ。来週はセントルイスのゲートウェイ・オーバルで一戦を交えたあと、短いブレイクを挟んで、シーズン終盤の3レースが3週連続で開催されるからだ。「ナッシュヴィルでの、避けようがなかったアクシデントを別にすれば、ここまで僕は全レースで完走を果たしています」と琢磨。ただしポイント争いでは、このレースで優勝したウィル・パワーに抜かれ、琢磨は11番手となっていた。「セントピーターズバーグを別にすれば、僕たちは苦労してトップ10に食い込んできました。フラストレーションのたまるシーズンですが、まだ4レースが残っています。なかでもセントルイスのレースは、ここ数年ずっとコンペティティブだったので、とても楽しみです。シーズン終盤に向けて、ここで一度リセットしたい気分です。セントルイスで本当に力強く、コンペティティブな週末を過ごし、その勢いを、西海岸で開催される3連戦につなげていきたいと思っています」

written by Marcus Simmons
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