RACEQUALIFYINGPRACTICE
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Rd.10 [Sun,23 June]
Iowa Speedway

来年こそ、いいレースになることを祈って……。
 IZODインディカー・シリーズは“初夏のオーバルレース・ラウンド”に突入した。そして残念なことに、佐藤琢磨も“初夏のバッドラック・ラウンド”に突入してしまったようだ。

 琢磨とAJフォイト・レーシングのダラーラ・ホンダは、ハイバンク・ショートオーバルのアイオワで力強い走りを示したが、結果的にはエンジン・トラブルによりリタイアに追い込まれ、琢磨はポイントスタンディングで4番手から8番手へと転落することとなった。

 昨年のAJフォイト・レーシングがこのコースで苦戦していたことを考えれば、琢磨のパフォーマンスはとても良好なものだった。「最初のプラクティス・セッションは、終盤を迎えるまでまずまず順調でした」と琢磨。「チームにとって昨年のレースはあまりいいものではなかったので、セットアップをがらっと変えることにしました。予定では最後の10分間で予選シミュレーションを行うことにしていましたが、そこまでに僕たちは大きな進歩を遂げていました。残念ながら、ここでエンジンが不調に陥ったため、僕たちは少し早めにプラクティスを終える形となります。この影響でエンジンを交換することになりましたが、おかげで予選シミュレーションができなかったうえに、決勝では10グリッド・ダウンのペナルティを受けなければならないなど、とても残念な展開になってしまいました。ただし、今回は少なくとも予選には出場できたので、これは不幸中の幸いというべきでしょう」

 予選を10番手で終えた琢磨は、このレース独自のフォーマットに従い、予選ヒートに出場することになった。ここでは、予選のトップ6は自動的にファイナルヒートへと駒を進めるが、7番手以下のドライバーは2グループに別れ、それぞれの予選ヒートを戦ってスターティンググリッドを決めるという変則的なルールが採用されている。なお、各予選ヒートで上位に入った者は後方グリッドからファイナルヒートへの出走が認められる。

 予選で10番手となった琢磨は、8番手だったスコット・ディクソンに続く2番手グリッドからスタートすることになる。琢磨はこのポジションのままフィニッシュしたので、ファイナルヒートに駒を進めることができた。このレースでは当初苦戦していたものの、終盤に盛り返し、最後はトニー・カナーンをオーバーテイクして7位となった。

 「予選シミュレーションを行っていないのに10番手となれたことは、チームの奮闘を示すものです。ディクソンがポールで、僕が2番グリッドからスタートした最初の予選ヒートはとても順調にいきました。僕は50ラップのレースでタイアのパフォーマンスがどのように変化するかを見極めようとしました。また、バランスシフトの様子を確認することで、決勝に向けたセットアップも見直すつもりでした。この段階ではまだいくつかの点で満足がいかなかったので、決勝までに再調整を行うこととしました」

 「この予選ファイナルヒートではトラフィックのなかでマシーンがどう反応するかをチェックできたうえ、最終的には7番手でフィニッシュできました。特別いいとはいえませんが、まずまずの状態まで仕上がっていたといえるでしょう。ここまでの進歩はある意味で順調でしたが、スピードについてはさらに伸びが欲しいところでした」

 10グリッド・ダウンのペナルティを受けた琢磨は17番グリッドからレースに挑むこととなった。ただし、決勝でのオーバーテイクは文字どおり至難の業だった。「ファイアストンがハイバンク用オーバルのために用意したタイアは、去年までのものよりもずっとデグラレーションが小さくされていました。それでも、ダウンフォースはギリギリまで削っていたので、前のマシーンに接近するのは非常に困難でした」

 「最初のスティントでは、オーバーテイクはほとんどできませんでした。そこで最初のコーションまで僕たちは待つことにします。ピットストップでは3台をオーバーテイクしました。メカニックたちの働きぶりは今回も素晴らしいものでした。そしてリスタートでもいくつかポジションを上げられたのです。これはとても楽しかったですよ!」

 最初のピットストップを終えたところで、チームクルーの素早いピット作業により琢磨は13番手までポジションを上げていた。リスタート後にはジャスティン・ウィルソンとスコット・ディクソンを攻略。これでポジションをふたつ上げた琢磨は11番手まで順位を上げることに成功する。

 「このレースでは好成績が収められそうな展開でしたが、やがてエンジンが不調に陥り、徐々にスピードが伸び悩むようになっていきました。このとき使っていたエンジンは、インディ500のカーブデイと決勝を走っただけのものです。つまり、走行距離は500マイル(約800km)を少し上回る程度で、比較的フレッシュなエンジンでしたが、僕たちは次第に苦戦を強いられるようになります。エンジン・マップやフューエル・マップなど、変えられることはすべて変えましたが、それでも効果はなく、スピードは徐々に落ちていきました。とても苦しい状況で、何とかしてスピードを保つように努力しましたが、最終的にはまったく加速しない状態になってしまったのです」

 これは3回目のリスタートでのことで、この時点で琢磨がリタイアするのは確実となった。残念な結果ではあるが、ここは次戦ポコノでの反撃を期待したいところだ。ペンシルヴァニア州に建つユニークな2.5マイル(約4km)のオーバルコースでインディカー・シリーズが開催されるのは1989年以来のことで、幸運にもチームはイベントが開幕する数日前にテストを実施する計画を立てている。しかも! このコースは1973年から1981年にかけてAJが4勝を挙げたこともある、AJフォイト・レーシングにとってはゲンのいいサーキットなのである。

 「アイオワは今回も非常に残念なレースとなってしまいました。メカニカル・トラブルでリタイアするのは辛いものです。チームは全力で作業し、僕は懸命にレースを戦った。僕たちは、自分たちのパフォーマンスをフルに発揮できたわけではありませんが、全般的に言えば僕たちは力強く、そしていい成績も残せたと思いますので、この点には満足しています。毎年、僕はアイオワのレースを楽しんでいますが、たくさんのポイントをなかなか持ち帰られないのは残念なことです」

 「ポコノではテストを実施する予定なので、チームの誰もがこのコースについて学ぶことができます。見たところ、とてもチャレンジングなコースで、3つのまったく性格の異なるコーナーがありますが、ここでも力強いパッケージングとともに戦えることを期待しています」

written by Marcus Simmons
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