RACEQUALIFYINGPRACTICE
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Rd.2 [Sun,01 April]
Barber Motorsports Park

みなぎるスピード
 セントピーターズバーグの市街地コースで新時代を迎えたIZODインディカー・シリーズの第2戦は美しい景色で名高いバーバー・モータースポーツ・パークが舞台。ふたつのコースはまったくタイプが異なるものの、残念なことに、佐藤琢磨にとってはどちらのレースも似たような結果に終わった。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのダラーラDW12ホンダと琢磨のコンビネーションは、この週末も力強い走りを何度か示しながら、結果的にはメカニカル・トラブルでリタイアに追い込まれたのである。

 琢磨は最初のフリープラクティスで3番手に入るなど、滑り出しから好調だった。プレシーズン・テスト以降、徐々に進むマシーンの改善に琢磨は満足していたが、チャンピオンシップで11位以下のドライバーにはタイアの使用本数が優遇されるというルールがあったので、この結果を素直に喜ぶわけにはいかなかった。

 「セントピーターズバーグからのいい流れを保っているように思えたかもしれません」と琢磨。「ただし、ここはパーマネントコースで、市街地コースのセントピーターズバーグとはタイプが大きく異なります。プラクティスは充実したものとなりました。ウィンターテストで確認できなかったいくつかのものを試していたので、2月のときに比べると、マシーンへの理解はずっと深まっていました。まずまず納得のできる状況でしたが、いくつか不満な部分が残っていたので、その改善に期待を寄せていました」

 「タイア・ルールの影響があったので、フリープラクティスの結果を鵜呑みにするわけにはいきません。とはいえ、冷静に考えても、決して悪い状況とは思えませんでした」

 ウェットコンディションとなった2回目のセッションで琢磨はトップに立った。満足のいく結果だったが、不満も残った。「楽しいセッションでしたが、自分たちの行なったセッティング変更を確認できないという意味では、難しい状況だったともいえます。比較するのはほぼ不可能な状況でした。そこで、土曜日の午前中に行なわれる3回目のセッションで確認することにしましたが、このセッションは深い霧が出て中止となりました。したがって、セッティング変更の効果を確認できないまま、僕たちは予選に臨むことになったのです」

 琢磨は予選グループで8位となり、16番グリッドを手に入れた。この結果を見ると、セッティング変更は失敗に終わったようにも思えるが、琢磨の本当のスピードは、この成績から予想される状況をはるかに凌いでいた。「第1予選グループの結果を見ると、オルタナティブタイアではコースがグリーンな状態でもラップタイムは1秒ほど速く、グリップはずっと良好なように思えました。けれども、ライフは2周ほどと極端に短い。僕たちのセッティングは、どうやら少し限界を越えてしまったらしく、強いオーバーステアを示していたので、マシーンのバランスにはあまり満足できませんでした。とはいえ、この状態で戦うしかありません。2ラップ目に入るとき、前を走るマシーンとの間に大きな間隔を取るように注意しましたが、このマシーンはひどく遅く走行し、しかも驚くべきことにタイムアタック中ではないにも関わらず、進路を譲ってくれませんでした。そこでターン8の進入で追い越しましたが、ここでコンマ3秒ほどタイムを失いました。そして、これが僕のベストラップとなったのです。ここから一度スピードを落とし、改めてアタックしようとしましたが、タイアのグリップはもう残っていません。とてもとても残念な状況でした」

 この結果、琢磨はコンマ1秒差でQ2進出を逃すことになった。遅いマシーンを追い越すのにタイムをロスせずに済んだなら、こんなことにはならなかっただろう。

 それでも、レースが始まると、琢磨は序盤にしていくつか順位を上げる力強い走りを見せた。「スタート時のスピードが高かったので、誰もがグリッドと同じ順位に留まっていましたが、最初のリスタートでいくつかポジションを上げることに成功します。このときは嬉しかったですね。そして、何もかもが順調に思われました」

 「最初のピットストップを行なうまで、マシーンのバランスにはやや不満もありましたが、それでもライバルをオーバーテイクし、いくつか順位を上げることはできました。ピット作業を終えたとき、タイアの取り扱いにやや問題があることが明らかになります。そこで、できるだけ順位を落とさないように注意しながら周回を重ねることとしました」

 この後、琢磨はダリオ・フランキッティとバトルを繰り広げることになる。「バトルは楽しかったですが、このスティントは辛かったですね。次のピットストップ・ウィンドがやってくるまで、ひたすら我慢して走り続けました。2回目のピットストップでマシーンに変更を施し、新しいオルタネナティブタイアを装着したところ、状況は劇的に改善されました。コンペティティブなラップタイムを記録し、すべて順調になったのです。僕はライバルたちに追いつき、次々とオーバーテイクしていきました」

 けれども、やがてNo.15のマシーンはパワーを失い、リタイアに追い込まれることとなる。「オリオール・セルヴィアとバトルになって何度もサイド・バイ・サイドを演じました。そして彼をオーバーテイクした直後に突然パワーが失われ、止まってしまいました」

 それでも、琢磨は物事をポジティブに捉え、2週間後に次のレースが開催されるロングビーチに向かわなければならない。もっとも、この開幕2連戦には、琢磨を勇気づけるたくさんのファクターがあった。「2戦連続でメカニカル・トラブルが発生したのは本当に残念でしたが、ポジティブな要素もありました。いくつものオーバーテイクができたのはいいことでしたが、実をいうと、たくさんオーバーテイクできるポジションはあまり好きではありません! いずれにせよ、僕たちのペースは速かったと思います。できれば、次のロングビーチもいい展開になって、今度こそ最後まで走り切りたいと願っています!」

written by Marcus Simmon
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