RACEQUALIFYINGPRACTICE
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Rd.16 [Sun,02 October]
Kentucky Speedway

スピードが伸びない!
 国際的なレースカテゴリーでウィナーの2.1秒後方でフィニッシュできたなら、たいていのドライバーは喜ぶだろう。けれども、並外れてコンペティティブなIZODインディカー・シリーズでは、1.5マイル・オーバルで300マイルを走った後の2.1秒差は優勝と15位のギャップに相当するのだ。そしてこの結果は、KVレーシング・テクノロジー-ロータスがいかに低調だったかを示すものであり、佐藤琢磨を深く失望させることとなった。

 「本当に苦しいレースでした」 ケンタッキーのレースを琢磨はそう振り返った。琢磨がオーバルで毎戦のように好パフォーマンスを発揮してきたことを考えれば、腹立たしい結果だったといっても過言ではない。

 プラクティスでの順位は、そうした事実を覆い隠すものだった。最初のセッションを5番手で終えた琢磨は、2回目のセッションでも9番手のタイムをマーク。「プラクティスでのタイムはあまり参考になりません」と琢磨。「どのドライバーも大きな集団を作ってトウ(スリップストリーム)に入った状態で走るので、単独走行で記録できるタイムとは異なるのです」

 「ケンタッキーのレースをとても楽しみにしていましたが、実際にはいくつかの問題を抱えてしまいました。トラフィックのなかでのマシーンの挙動はそこそこに良かったものの、根本的にスピードが不足していたのです」

 予選でも事態は悪化するばかりで、琢磨は22番手に終わった。「あまりに遅くて、ショックを受けました。僕の出走する直前にチームメイトがアタックしましたが、コンペティティブとはほど遠いタイムでした。その後で僕が出走しましたが、やはり結果は同じで、本当にがっかりしました。僕たちのチームは3台ともまるでスピードが伸びなかったのです」

 今回はウォームアップ・セッションが行われなかったため、決勝用のセットアップも推測をもとに決めなければならなかった。「気温が驚くほど低くて、まるで冬のようでした。予選のアタック前に1周余計にウォームアップが追加されたので、僕たちはタイアの発熱とグリップに問題を抱えているのではないかと考えていましたが、路面のグリップは良好で、タイアさえウォームアップできれば問題ありませんでした。僕らにとっての状況は結果的にほとんど変わりませんでした」

 「決勝にはセッティングを変更して臨むことになりましたが、それが上手くいくかどうかは、走ってみるまではわかりませんでした」

 しかし、状況はいくぶん改善された。スタートすると琢磨はトップ20内に進出、その後はピットやピットストップの直後、それにフルコーションなどで何度か順位を上げたが、走り始めるとすぐに順位を落としてしまうのであった。

 「スタート直後に、これでもうレースは終わったと思った瞬間がありました。ターン2でいきなりリアがスライドして、ほとんどコントロールを失ってしまいそうになったのです。フルカウンターを当ててなんとか持ち堪えましたが、マシーンのリアエンドは驚くほど不安定でした。一度タイアが温まれば問題はないのですが、今度はスピードが不足していて、順位を上げるどころか、集団の後ろについてトウを使うしかありませんでした」

 「レース前半はそれほどドラマはありませんでした。何度か順位を上げましたが、レースが落ち着き始めると抜かされてしまいます。とにかくスピードが不足していたのです。しかも、レース半ばにしてウェイトジャッカーが壊れてしまいました。ときにはサイド・バイ・サイドになったり、スリーワイドになって、かなりエキサイティングでしたから、できれば同じことをトップグループでしたいと思っていました!」

 レース後半、琢磨はダニカ・パトリック、ダン・ウェルドン、バディ・ライスなどといったドライバーとバトルを演じたが、それは素早いピットストップに助けられて実解したものだった。「ピットストップではメカニックたちが素晴らしい働きをしてくれ、僕は順位を上げることができました。毎回リスタートで順位を上げることに成功していましたが、3回目のときは特に勢いがありました。タイアがまだ冷えている状態で何台もオーバーテイクし、7番手までポジションを上げることに成功したのです。しかし、タイアが温まってレースが安定してくると、また順位を落としていくということの繰り返しでした」

 「状況を考えれば、それほど悪いレースではなかったのかもしれません。考えようによっては多少の達成感を感じるレースでもありましたが、マシーンがコンペティティブでない状態は非常に残念なものです」

 2011年のインディカー・シリーズは、ケンタッキーと同じ1.5マイル・オーバルのラスヴェガスでいよいよ最終戦を迎えることになる。「見たこともなければ走ったこともないコースです。できればシーズン序盤のようなスピードを取り戻したいです。今回、チームが走らせた3台はいずれも戦闘力が不足していました。ラスヴェガスでもマシーンのパッケージは似ていて、使用するタイアは同じですが、解析によってセットアップを見直し、しっかりと対策を施して、以前のようなスピードを取り戻すことを期待しています」

written by Marcus Simons
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