RACEQUALIFYINGPRACTICE
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Rd.15 [Sat,17 September]
Twin Ring Motegi

絶大な声援に感謝!
 母国である日本のツインリンクもてぎで開催されたインディカー・シリーズの一戦に出場した佐藤琢磨は、トップ6でフィニッシュできそうだったレースを終盤のアクシデントに巻き込まれて10位で終えた。けれども、2011年に日本を襲った災害のことを考えれば、このイベントでもっとも重要なのは、開催されること自体だったといえるだろう。

 「誰にとってもとても大切なレースでした」と琢磨。「オーバルコースや各種施設がダメージを受けたため、一時はイベントそのものがキャンセルされる恐れがありました。けれども、多くの皆さんの協力を得て、ロードコースに舞台を移して開催することが決まりました」

 「なにしろ、これが最後のインディ・ジャパンなんですから、絶対に実現しなければいけません。レースが行われる前の週は息つく暇もなくイベントに出演し続け、インタビューを受けました。とても忙しい1週間でしたが、多くのファンから声援を送っていただきましたし、サーキットには大観衆が詰めかけてくれました」

 残念ながら、今季のKVレーシング・テクノロジー-ロータスのロードコースにおけるパフォーマンスは、期待されたほど良好ではなかった。予選の第1セッションで琢磨は6番手に入ったが、第2セッションでは11番手となり、最終セッションとなるファイアストン・ファスト6への進出はならなかった。もっとも、ラップタイムをあと0.15秒削り取ることができれば、琢磨はこのウルトラコンペティティブなセッションに駒を進めることができたのだ。

 「僕たちはとても苦しんでいました。このコースは路面がスムーズで、グリップがよく、ヘビーブレーキングと90度コーナーが続くわかりやすいコースレイアウトなので、僕たちは力強いパフォーマンスを示せると予想していたのですが、残念な結果に終わりました。特に苦労したのはマシーンのバランス取りで、それを思えば予選では比較的いいタイムを記録できたと思います。いずれにせよ、もてぎでは好成績を残したいと強く望んでいたため、この結果には落胆しました。それでもファンの皆さんからは素晴らしい声援を受けていたので、決勝は力強く戦いたいと期待していました」

 レース序盤、琢磨はひとまず10番手に落ち着いた。「とても速いペースのスタートでした。コースレイアウト、それに僕がいたポジションの関係で、僕の前後では1列となってスタートを切りましたが、オープニングラップでポジションをひとつ上げ、その後はレースの流れを追う展開となりました」

 「やがて、僕たちはひとつの大きな集団を形成するようになります。マルコ・アンドレッティはハード・タイアでスタートしていたのですが、スティントの後半ではかなり手こずっているようでした。彼がコーナーのなかで姿勢を崩して間隔が急激に縮まりましたが、僕はかなり接近していたのでスロットルを戻す羽目に陥りました。残念ながら、このときはJP(ジョアオ・パオロ・デ・オリヴェイラ)が急速に近づいてきたので、あまり好ましい展開とはいえません。続いてJPはヘアピンで僕のイン側に飛び込んできました。ただし、彼は自分のライン上に留まることができず、アウト側にいた僕のほうにスライドしてきて2台は接触し、ふたりともコースのアウト側に飛び出してしまいます。これはかなり決定的な状況で、コースに戻ったときには大きく順位を落としてしまいました」

 この後は、失地を挽回するための、琢磨がいうところの「長くて苦しいレース」が始まる。そして、レースが残り数周でフルコーションとなったとき、琢磨にはホームコースも同然のホンダが所有するサーキットにおいて、彼は7番手まで順位を戻していたのである。「レースの最初から最後まで、ファンの皆さんには信じられないくらい盛大な声援を送ってもらいました」と琢磨。「みんな旗を振り、飛び跳ねたり、ウェービングをしたりしてくれました。本当に素晴らしかったです。ファイナルラップの直前には太陽がコントロールタワーに向かって傾き、皆さんが振る旗は逆光となって輝いていましたが、本当にきれいな光景でした」

 「リスタートは上手くいき、チームメイトのヴィソを抜いて6番手となります。その後は5番手のアレックス・タリアーニに並ぼうかという勢いでしたが、ターン1への進入ではあまりリスクを冒したくないと思いました。そこでスロットルをオフにして“タグ”の後ろでコーナーを回り込もうとしたとき、僕の左側から突然、EJが飛び込んできたのです。僕の目の前にはタグがいたので逃げ場はなかったのに、EJがアウト側からかぶせてくる形となりました」

 「まず、コーナーの進入で接触し、そこから混乱が起きてマシーンのコントロールを失った後、最終的に2台は絡んでしまいました。これはインディ・ジャパンです。僕たちはチャンピオン争いをしているわけでもなく、しかもスタート・フィニッシュ・ラインの段階で僕はすでにパスしていたのですから、彼が何をしようとしたのか、僕には理解できません。とてもエキサイティングな結末を迎えられそうだったので、ひどく残念で、まったく必要のないアクシデントだったと思います」

 琢磨は大いに落胆しているようだが、裏を返せば、いまの琢磨は10位フィニッシュでは満足できないほど好調ともいえる。そしてこの2週間後には、2011年最終戦のひとつ前にあたるレースが10月2日にケンタッキー・スピードウェイで開催される。「もてぎのレースは残念でしたが、イベントを大局的に捉えれば大成功に終わったと思います。なにしろ、3〜4日の間はイベントが目白押しだったのですから。ファンの皆さんの大声援に心からお礼を申し上げると同時に、これが最後のイベントとならないことを祈っています。レース後の月曜日のイベントも大盛況でした」

 「次はケンタッキーですが、ここと最終戦のラスヴェガスではいいペースで走れることを期待しています。どちらもオーバルですが、とても楽しみです」

written by Marcus Simons
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