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Rd.4 [Sun,02 May]
TEXAS RACE2

不運な週末 第3、4戦 テキサス
テキサス・モーター・スピードウェイで開催されたNTTインディカー・シリーズの第3戦と第4戦を佐藤琢磨自身の言葉で振り返ると「僕にとってはひどくフラストレーションの募る週末」となる。なにしろ、No.30をつけたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのダラーラ・ホンダは、ひどいタイミングで出たイエローのせいで土曜日のレースは9位に留まり、日曜日のレースは長引いたピットストップと残念なピット戦略の影響で14位に終わったのだから……。

 全長1.5マイルのオーバルコースでは、予選前に1度だけプラクティスが行なわれたが、続く予選は雨のためにキャンセルとなってしまう。したがって走行時間は最小限だったといっていい。

「このコースでは数ヵ月前にテストを行なっていたので、これが役立ったのは間違いありませんが、それにしてもプラクティスはあまりに短すぎました」と琢磨。「ここで僕は3番手でしたが、これが本当の実力だったとは必ずしもいいきれません。それでも、僕たちの速さはトップ6前後だったので、予選が中止されたのは残念でした」

 このため、スターティンググリッドは第2戦までのポイント順で決まることとなり、琢磨は12番グリッドからレースに臨むこととなった。「オーバルレースだったら、12番グリッドでも関係ない」? たいていのオーバルであればそのとおりだが、テキサスはオーバーテイクが極めて難しいコースとして知られている。「そして昨年から、テキサスの第2レーンには黒い舗装コーティングが施されています。これは第2レーンを走るNASCARマシーンを手助けする目的で導入されました。ただし、インディカーのコンパウンドにはまったく影響がないどころか、余計にグリップしない傾向がったので、関係者はこれを取り除こうとしましたが、深く染み込んでいたため、このコーティングを取り除けなかったそうです。ファイアストンによれば、この影響でグリップが20%ほども低下していたようです。かつてのテキサスはハイバンクで4ワイドも可能でしたが、いまではターン1に2ワイドで進入するのも精一杯です。12番グリッドからのスタートがひどく不利だと考えられたのは、このためです。こうした状況を踏まえて、インディカー・シリーズはダウンフォースを増やすエアロ・デバイスの追加を認めてくれましたが、それでもオーバーテイクの難しさはロードコースとほとんど変わりありませんでした」

 琢磨はスタートで8番手へと躍進。2ラップ目にはセバスチャン・ブールデに抜かれて9番手になったものの、ごく早いタイミングで行なった最初のピットストップまで、琢磨はこのポジションを守り続けることになる。「ターン1からターン2にかけて2ワイドで走るのは、走行できるコース幅が限られているものの、めちゃくちゃ楽しいです。その後のスティントでは、ポジションを上げるためにほかのドライバーとはタイミングをずらしたピット戦略で走りました。とても早いタイミングでピットストップすることで、数名のドライバーをアンダーカットしようとしたのです。チームメイトのグレアム・レイホールは、もっとも早いタイミングでピットストップしたドライバーとなりました。このおかげで、僕たちはクリーンなエアのなかでペースを上げることができたのです」

 やがてブールデがクラッシュしてイエローが出たのだが、これはすでにピットストップしていた数名のドライバーにとって致命的なできごとだった。なぜなら、残るドライバーは、実質的にロスタイムなくピットストップを済ませることができたからだ。「ピットストップのロスタイムは40秒で、このコースのラップタイムはおよそ26秒です。ピットストップを終えたとき、僕はラップダウンになっていたので、僕にとっては最悪のタイミングで起きたアクシデントだったといえます。残るドライバーたちがピットストップしたことで僕はリードラップに復帰できましたが、それでも列のいちばん後にならばなければなりませんでした」

 16番手でリスタートを迎えた琢磨は、17番手となって2回目のピットストップを実施。これも比較的早いタイミングだったが、今回は成功を収め、全員がピットストップを終えたときには13番手となっていた。続くスティントで琢磨はライナス・ヴィーケイをパスして12番手に浮上。ほどなく、ジェイムズ・ヒンチクリフのクラッシュでイエローとなり、全ドライバーがピットストップを行なった。これで11番手となった琢磨は、最後のスティント中にサイモン・パジェノーを攻略して10番手になると、レース終盤にコルトン・ハータがトラブルで遅れた影響により9位でフィニッシュしたのである。

「僕はゆっくりと順位を上げていきました。ふたつめのスティントを比較的短めにする戦略は、フレッシュなタイヤで走れたので成功でした。それ以降は、目立ったことはできませんでした。サイモンをパスしてひとつポジションを上げただけですが、レース中に失った順位のことを考えれば、うまく挽回できたといえるでしょう」

 これで琢磨はポイントランキングで11番手に浮上。そしてこれが、第2レースにおける琢磨のスターティンググリッドとなった。ただし、本当の競技が始まったのは、レースがスタートしてからしばらく経った頃のこと。なぜなら、スタートで多重クラッシュが発生したため、19周目までグリーンフラッグが振られなかったからだ。とはいえ、レースの周回数は前日よりやや長めに設定されていたので、これがレース戦略に与える影響はそれほど大きくなかった。「3ストップ作戦は極めて難しいと思われました」と琢磨。「問題は燃費ではなく、タイヤのデグラデーションがひどくてペースが遅くなることにありました」

 リスタートが切られると、琢磨はヒンチクリフをオーバーテイクして10番手となり、その後もこのポジションを守り続けたものの、最初のピットストップを行なう数周前にフェリックス・ローゼンクヴィストに攻略されてしまう。いくつもの災いが琢磨に襲いかかるようになったのは、この直後のことである。「不運にも圧搾空気のレギュレーターが壊れたために、左リアタイヤ用のエアガンが動かなくなり、ピットストップがひどく長引いてしまいました。これで2ラップダウンとなり、極めて難しい状況に追い込まれたのです」

 次のスティントで、琢磨は首位のディクソンをパスし、1ラップダウンまで挽回した。「直後にイエローが出たので、きわどいタイミングでした。イエローが解除されたとき、僕はリードラップの最後尾につけていたので、この状況を最大限生かすことができました。僕にとっては、レース半ばで振り出しに戻ったようなものです。僕はアンダーカットを狙い、次のスティントを短めにしました。この時点では順調に追い上げていたので、トップ10か、さらに上位のポジションを狙えると期待していたのですが、続いて出たイエローのために、僕たちのアドバンテージは完全に失われてしまいます。誰もがピットに飛び込んだので、レースをリードしていた僕も、本来であればそうすべきところでした」

 ここでRLLRは危険な賭けに出たのである。琢磨をステイアウトさせ、他のドライバーがピットストップする間に順位を上げようとしたのだ。しかし、この時点で琢磨は、前回のピットストップからすでに31ラップを走行していたうえ、フィニッシュまでさらに52ラップをピットストップなしで走りきらなければいけなかった。しかも、これ以降はイエローが提示されなかったため、琢磨はピットストップを行なった時点でラップダウンとなったのである。「多重クラッシュがもう一度起こらない限り、成功しない作戦でした。僕がトップで、その後をライアン・ハンター-レイが走っていましたが、このタイミングでピットストップしたハンター-レイは10位でチェッカーを受けました。僕の前後を走っていたドライバーのペースから推測するに、7位は可能だったと思われます」

 この後、5周にわたってトップを走行した琢磨は、やがてジョセフ・ニューガーデンにパスされ、結果的にこのレースを制することになるパト・オワードにも抜かれる。琢磨は3番手となって8ラップ周回すると、最後のピットストップを実施。この影響でラップダウンの14番手まで後退すると、そのポジションでチェッカードフラッグを受けたのである。

 ここで気を取り直し、次のレースに目を向けることにしよう。インディカー・シリーズの一行は神聖なるインディアナポリス・モーター・スピードウェイへと移動し、そこで5月半ばの風物詩となったインディGPを戦った後、シーズン最大の1戦であるインディ500に臨むことになる。

「テキサスでは悔しい思いをしましたが、シリーズは大きな山場を迎えることになります。今シーズンは、ちょっとしたことで好成績を逃す展開が続いています。いまから、できるだけの準備を進め、インディ・ロードコース、そして500マイル・レースへと挑みます。とても胸躍るときです!」

written by Marcus Simmons
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