RACEQUALIFYINGPRACTICE
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Rd.2 [Sun,10 April]
Baber Motorsports Park

果敢な追い上げも空しく……
 セントピーターズバーグの開幕戦を5位で終え、素晴らしい形でインディカー・シリーズの2シーズン目を迎えた佐藤琢磨だったが、アラバマ州バーバー・モータースポーツ・パークでの第2戦は非常に残念な結果に終わった。

 大きくうねるようなコースレイアウトを持つこのコースは、琢磨が国際的なレース活動を始めたヨーロッパのサーキットとよく似ており、このため参戦初年度の2010年は驚くべきパフォーマンスを発揮した。しかし、2年目の今回は思いどおりの展開とはならず、琢磨はこのドラマチックなレースを16位完走で締めくくった。

 今季最初のパーマネント・ロードコースにおいて、KVレーシング・テクノロジー-ロータスのペースは伸び悩んだ。琢磨は11番グリッドからのスタートと、予選は不本意な結果に終わったが、それでも、琢磨とともに活躍が期待されたチームメイトのEJ.ヴィソとトニー・カナーンに比べれば、はるかにいい成績だった。

 「昨年のことがあったので、このレースには大きな期待をかけていました」と琢磨。「けれども、ウィンターテストでこのサーキットに訪れたとき、ペースはよくありませんでした。とはいえ、昨年後半から同じセットアップの考え方を守り通してきた僕たちにとって、これはクルマを見直すいいきっかけになったと思います。昨年8月のミドオハイオでとても好調だったパッケージが、1ヵ月後のソノマでは僕たちを苦しめることになったにも関わらず、基本的に同じ方向性のセットアップをこのバーバーにも持ち込んでいたのです。今回、僕たちは基本セットアップに一度立ち返ることにしたので、ウィンターテストとは異なる流れとなりましたが、最終的には考え方の異なるセットアップをひとつにまとめあげることができました」

 金曜日から土曜日にかけては、チームの誰ひとりとして満足な結果を残すことができなかった。「とても受け入れられる内容ではありませんでした」と琢磨。「バランスとグリップのレベルに、トニーは大きなショックを受けていたほどです」

 しかし、日曜になると、午前中のウォームアップで琢磨が3番手に入るなど、光明が見え始める。「エンジニアと協力しあってセッティングを煮詰め、ふたつのセットアップをひとつにまとめあげることに成功したのです。これはとても嬉しかったですね。本当は、これがもう1日早ければよかったのですが! レースに向けて、他の2台は僕のセットアップを丸写しすることになり、ここまでの2日間よりはずっといい展開となりました。期待は大きかったし、とても力強く戦っていけると信じていました」

 レース序盤は、琢磨の期待どおりの展開となった。スタートでポジションをふたつ上げた琢磨は、ほどなく迎えたリスタートでふたつ順位を落とす。そこで一旦は落ち着いたものの、26周目にはついにグレアム・レイホールをパスして10位に浮上。続いて、インディ500を3度制したエリオ・カストロネヴェスに襲いかかったが、次の周、ふたりは接触してしまう。「僕は燃費を稼ぎながらトップグループを追っていましたが、これはとても上手くいっていました」と琢磨。「エリオとサイド・バイ・サイドになってヘアピンの出口を目指していたとき、2台のマシーンはひどく接近し、残念ながら接触してしまいました。僕たちはふたり揃って順位を落としましたが、そこから挽回していき、リスタートでは順位を上げていたので、まだレースは終わっていないと思っていましたし、力強く戦い続ける自信もありました」

 レース中盤、琢磨はリスタートで鮮やかな手腕を示し、ヘアピンでアウトからジャスティン・ウィルソンをオーバーテイク、7位に浮上する。カストロネヴェスとのアクシデントさえなければ、琢磨は最初からこのポジションにつけていたはずだが、次のリスタートで琢磨はジャスティンと接触してしまう。「彼は信頼できるドライバーですが、今回は残念なことに接触してしまいました。ターン2の大きく回り込む右コーナーでサイド・バイ・サイドになったとき、これまで何度もやったのと同じように、そのままターン3まで抜けられると思い、アウト側のラインを守っていましたが、彼がどんどん近づいてきて、最後は行き場を失って接触してしまったのです」

 これにより、琢磨はウィング交換のためピットインを余儀なくされた。「これは本当に悔しかったですね」

 18番手まで順位を落とした琢磨が失地を挽回するにはとにかくオーバーテイクするしかなかったが、実際、彼は11番手まで返り咲いてみせた。ところが、タイアを痛めてペースが伸び悩んでいたダニカ・パトリックの後方で中位グループのドライバーが手をこまねいていたところ、いきなりセバスチャン・ブールデが突進してきて琢磨を驚かせることになる。「たくさんのドライバーが密集していて、目の前ではサイド・バイ・サイドが繰り広げられていました」と琢磨。「ブールデが急接近してきたので、僕はコースからはみ出しながら避けましたが、それでもまるで止まらないような勢いでした」

 この後、琢磨はパトリックとライアン・ハンターレイを抜いて14位に浮上したが、レースが残り2周になったところで燃料補給のためピットストップを行なうことになり、さらに順位を落としてチェッカーを受けた。「直前のピットストップで給油に予想外の問題が起きたため、もう1度ピットに戻らなければいけませんでした。これでいくつか順位を下げ、ドラマ満載のレースはようやく幕を閉じたのです」

 いずれにせよ、6位入賞が望める展開だっただけに、琢磨にとっては非常に残念な1日となった。次週、琢磨が挑むのはウェストコースとのロングビーチで開催される一大イベントだが、ここはKVチーム代表のジミー・ヴァッサーとケヴィン・カルコーヴェンの本拠地でもある。「とても残念なレースでしたが、ポジティブな側面もありました。予選で苦戦した後、セットアップを見直して立ち直ることができたので、この流れをロングビーチのレースに結びつけたいと思います。ジミーとケヴィンにとっても大切なレースなので、力強く戦い抜けるよう頑張ります」

written by Marcus Simon
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