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Rd.7 [Sat,05 June]
Texas Motor Speedway

サスペンション・トラブルが招いた残念な結末
 ロータス・KVレーシング・テクノロジーのダラーラ・ホンダに乗る佐藤琢磨は、テキサス・モーター・スピードウェイで開催された第7戦でサスペンション・トラブルによりクラッシュに追い込まれ、好発進を見せたレースを残念な形で終えることとなった。

 今回は4戦連続開催となるオーバルレースの第3戦にあたる。フォートワース近郊のテキサス・モーター・スピードウェイはシリーズ中もっともバンク角の深いオーバルコース。当然のごとく、ラップスピードはとてつもなく速い。
「とにかく面白いところですよ」と琢磨。「カンザスとよく似ているんですが、バンプが多いし、バンク角の深さは驚くほどです! 予選前のプラクティスは1時間だけで、したがってできることは限られていましたが、僕はまずこの深いバンクに慣れようとしました。インディアナポリスの次のレースだったので、とても奇妙に感じられたし、とにかくとんでもないところでした」
「僕たちはレースセットアップに専念しましたが、温度が非常に高く、このためグリップレベルはとても低い状態でした。コースを見た印象では2ワイドも簡単にできると思っていましたが、グリップが不足していたために、それはとても難しいものとなっていました」

 琢磨は予選で11位と健闘する。「予選の結果には満足していまし、感触も悪くありませんでした。予選後には、土曜日の夜に行なわれるナイトレースを見据えたシミュレーション用のイブニング・セッションが設けられていました。けれども、これが午後7時頃の実施だったため、まだずいぶん温かく感じられたのです。このとき、バンクの半分ほどは日がかげっていましたが、これが車の挙動に大きな影響を与えていました。オーバルでは何もかも温度の影響を強く受けるので、ナイトレースがどのようになるか、予想できませんでした。でも、とにかくそこでレースをするわけですから、僕はとても楽しみにしていたのです」

 レースでは順調にスタートを切り、集団のなかで果敢にバトルを演じた。「スタートは慎重にいきましたが、さすがに、最初のオーバルレースとなったカンザスほどはスピードを落としません。悪くないポジションで集団を追いかけ、とてもエキサイティングな思いをしました。2ワイドや3ワイド、時には4ワイドなんてこともありました! 本当にとんでもない状況で、しかもバンプがいたるところにあったので、どのドライバーも派手に火花を撒き散らしていました」

 「順位が落ち着いてきたところでいろいろな調整を行ないましたが、最初の15周についてはとても満足していました。最初の数周では順位を落としましたが、その後、ポジションを取り戻すことに成功します。けれども、間もなく車はひどいアンダーステアとなり、そのバランスの変化に苦しむこととなります。コクピット内ではロールバーやウェイトジャッカーを操作して荷重のかかり方を調整することもできますが、それにしてもアンダーステアがひどすぎました。20ラップを過ぎるとペースは大きく落ち、コーナーはほとんどスロットルを抜いたまま走るような状態となってしまいます。できればピットストップしたいところでしたが、リードラップに留まっていなければならなかったので、そのまま走り続けました」

 ついにフルコーションとなり、琢磨は最初のピットストップを行なった。「新たに履いたタイアは空気圧の設定を変更し、フロントウィングもより立てました。これでバランスは大きく改善されて、インサイドからもアウトサイドからもオーバーテイクできるようになり、最高の気分を味わいました。けれども、ターン2で思わぬことが起きます。車高が落ちて、そのまま変な方向に向かって進み始めたのです。リアサスペンションの何かが壊れたことはすぐわかりましたが、ウォールにクラッシュするまで、まるで助手席に腰掛けたパッセンジャーのように何もできないという状況は、本当にいやなものですね」

 幸いにも、琢磨に怪我はなかった。次戦は6月20日にアイオワ・スピードウェイのオーバルコースで開催されるが、その前に、琢磨は今週、ワトキンスグレンのロードコースでテストを行なう予定だ。

 「身体は大丈夫ですよ」と琢磨。「ただ、残念でしたね。車のフィーリングはよかったし、面白いレースになると思っていましたから。アイオワはグリップが低いうえにバンピーなので、ロードコース用のウィングを使うことになりそうです。でも、その前にワトキンスグレンのロードコースで“右に曲がる”ことを楽しみにしています!」

written by Marcus Simmons
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